長編小説

彼女がドーナツを守る理由 39

2025/6/17

「ヨウくん、ゾウ」 リリィが指差す先には、小さな可愛らしい目をして、長い鼻を高々と持ち上げる象がいた。「本当だ。象だね」 太陽の光を受けて、リリィの爪に綺麗に並べられたラインストーンがキラ、と光った。僕には象よりもリリィの爪の装飾のほうが興味深かった。リリィは器用だな、とつくづく思う。「自分で付けてるんだよね、それ」「何?」「爪」「うん、そうだよ。あ、ヨウくん、キリンだよ」 リリィは僕の手を引っ張ってキリンの柵の前へ行った。「かわいいね」 嬉しそうにキリンを見上げて言う。「うん、かわいいね」 日曜日、今日 ...

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