maki

彼女がドーナツを守る理由 6

 カウンターの上に開かれたページには、指輪のデザイン画が並んでいる。植物の蔓のような、滑らかな曲線。そこに木の実を思わせる赤い粒が付いている。マークの得意とする有機的で繊細なデザインだ。これはまた作る ...

彼女がドーナツを守る理由 5

 ダイニングバー『トーラス』は、勤務先である工房から最寄り駅までの道の途中にある。酒だけでなく食事のメニューも充実していて、気易い雰囲気で値段もそれほど高くなく、しかも夜遅くまで営業している。必然的に ...

彼女がドーナツを守る理由 4

 家に帰り着いたのは夜中近くだった。僕は台所でカップラーメンを作って食べ、シャワーを浴びるとすぐに寝た。 祖父と両親と共に暮らしていた、木造二階建てで小さな庭もあるこの家に、僕は現在ひとりで住んでいる ...

彼女がドーナツを守る理由 3

 ピアスを左右とも仕上げた時には、工房に残っているのは僕ひとりになっていた。片付けをし、戸締まりをして外に出る。工房の前の庭に立って、僕は顔を仰向けた。 すっかり暗くなった空には、『太陽』の代わりに煌 ...

彼女がドーナツを守る理由 2

第一章  午後三時、窓の外に雨が降り始めた。ザアアという心地良い音と雨の匂いがあたりに満ち、心なしか室内の温度が少し下がる。僕は手を止めて窓の外に目を遣った。 家々の屋根や、屋外に停められた自転車、工 ...

彼女がドーナツを守る理由 1

あらすじ 今からおよそ五百年ほど後の、地球ではない星。アクセサリー工房で働きながら小説家を目指すヨウは、古い文献に出てくる謎の言葉、『星』について日々考えを巡らせていた。そんな中、亡き祖父と幼い頃に交 ...

はじめまして!

2022/10/10    

初めまして。三原槙と申します。(みはらまき、と読みます) 少し自己紹介させてください。 1981年、鳥取県生まれです。小説を書いています。三原槙は小説を書く時のペンネームです。 以上。短い! とまあそ ...